時の秋、江波行き、桑の蝉が鳴り止まり。
秋晴れの日は稲妻天下一武道会の始まり。
東の島、花火の直後、強者たちは集まり。
名誉と財宝に、願いを叶う伝説の締まり。
「わーい! 稲光山って高いなあ~」
稲光の原の頂点に、ある赤いリボンがなびいている。
「待って、アンバーさん!」っと追いかけるメイド騎士。
その堅い鎧は山登りに容易ではなさそうだ。
「二人とも、まだ任務があるのでしょう。 観光する場合じゃないわよ!」
雪溜まりの山の景色にふさわしい優雅、モンドの『波花騎士』も到着。
原を眺め、目的地は一目で見られ、武道会の開催地。
「まあ~そう言ってもエウルアさんも楽しんでいるでしょう?」
絶景に惚れ、にこしているアンバーの声掛けに思わず、びっくりした様子。
その愛しい姿も彼女たちに羨ましい。
「そっ、その仇は覚えたわよ!」っと、先に行ちゃった。
*** ***
武装の船隊から徐々に降り、
璃月を代表する人々が参り。
先頭に案内するのは、社奉行神里家の令嬢。
この旅の目的として、商業往来はその一つ。
「そう言えば珍しいですね、凝光さんがいらっしゃらないって」
世辞の言葉を替わりつづ、神里は気にしている様子。
「仙人様が立ち去った以来、彼女はずっと必死に頑張ているわ」
今年の同行者が居ないと、北斗の話しぶりにも嘆き。
「でも彼女の代わりに、往生堂の客卿、鍾離先生は来ましたよ」
璃月七星の一人、玉衡星の刻晴のテンションが高い。
隣の男性、博学多識のように見えたが、苦笑返した。
「ねね、鍾離さんは行こうよ~往生堂に私が居るから大丈夫、璃月のためなら、きっと『岩王帝君』様も喜んでいるでしょ~」っと、堂主の彼女の言葉を思い出すと、拒否することもできなくなりそうだ。
でも、この静かな島に踏み込んで、千年ぶりの友に再び会えるなんで、目的以外の喜びかもしれない。
*** ***
千帆の船々に埠頭を色染め、
夕焼に偶々飛空艇の影落ち。
『北国銀行』の旗が振り上げた時は、
ラストゲストのいらっしゃい。
「よー、来たなぁ」っとひと声かけ、
突然に太刀打ち。
「びっくりさせないでよ、スカラマシュ」
弓で構え、軽く語りのタルタリヤ。
「ここに来て、お金のためではないよなぁ」
「『賞金』は美味しいだが、『あのもの』は何より」
「まぁ、僕は構わないけど、試合の時にあれを譲り上げるよ。
ファトゥス同士の殺し合いは禁止するもんからなぁ」っと言ったところ、
納刀して立ち去るスカラマシュ。
「でもそれは君が僕に勝ったらの話だなぁ」
勝利を目指す自信は笠の下の目から溢れるようだ。
*** ***
「フッフン、今宵は賑やかに舞い上がりましょうか」
幕府の奥、天守のてっぺん、
『将軍』という謎の女性は新たな物語を幕引く。
-おわり-